月10万円を超える人気モンテッソーリ園を立ち上げ後、子どもの選択を広げる更なる挑戦へ
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月10万円を超える人気モンテッソーリ園を立ち上げ後、子どもの選択を広げる更なる挑戦へ

 
マリア・モンテッソーリの生まれであるイタリアのモンテッソーリ国際資格を持つ藤江園長は、東京や静岡で月額10万円を超える人気モンテッソーリ園の立ち上げを行ってきた。そんな藤江園長が、なぜエデュリーのミッションに共感し、次なる教育を作ろうとしているのか聞いた。
 
 

初めてモンテッソーリ教室を見た時

 
「モンテッソーリの学校に見学へ行った際、子どもたちが集中している姿にすごく感動しました。日本だけでなく、海外も含めて、色々なモンテッソーリ教室を拝見しますと、どこへ行っても静かなんです。
 
これは決して静かにさせようということではなくて、一人一人が選んだ道具に対して、集中して活動している。そして、大人がディレクターとなって後ろから援助しており、それに相まって子どもが主体的に動く。それで私もモンテッソーリを深く学びたいと思いました」
 
モンテッソーリは子どもの主体性を引き出す環境が物的にも、人的にも細かくデザインされている。藤江園長は、そんなモンテッソーリの理論にハマっていく。
 
「子ども達が落ち着かなかったり、静かにさせる為に、大人の大きな声でみんなを注目させたり、あるいは『静かにしましょう』という言葉を使ったりしていることもあると思います。
 
私が見たモンテッソーリ教室は、まず子どもを集めるために椅子が用意されていて、そこの椅子の前で大人が小さい声のトーンでお話をするんです。その声を子ども達が聞き取ろうとすると、自然と静かな状態になる。子どもたち自ら主体的に”静かな状態”つくることを、大人が援助しています。
 
先生は大きな声を出すことなく、出席を取るにしても、小さな声で普通に会話をする。子どもは決して何もできない存在ではなくて、色々な能力を持っていて、たくさんのことをやってみたい。
 
また、各クラスが縦割りなんです。例えば3クラスあれば、3クラスとも3・4・5歳児がいる。大きい子が小さい子のモデルであるのはもちろんなんですけれども、大きい子が自分の通ってきた道の中で難しかったところ、それを大人以上に上手に教えている姿やお互いが尊敬し合ってる姿には鳥肌がたちました。
 
ですから、そういう環境を整えると子どもはどんどん吸収するんだなっていうところを非常に学びました」
 

モンテッソーリから読み解く主体性

 
「生まれてくる子ども達は自然の環境に入るのではなくて、大人が生活している文明に入る。もう最初から大人が快適に過ごすための環境の中に、まだ運動機能もできてない子ども達が参加する。
 
これは、子どもにとって一番の環境とは言い難いので、一旦子どもの目線になる。子どもに必要な環境を整えるには、モンテッソーリの科学的に計算されたものを用意する。一人一人違って、一人一人求めるものは違う。
 
例えば、書くという段階でも、最初は筆圧がないので、いきなりペンを持つと挫折してしまいやすい。なので、柔らかいフェルトペンとか、チョークを使う。そして、それを持つ為には、日常生活で、三本指を使う運動を取り入れる。そのように、一人一人にちょうどいい難しさを設定することで、子どものできた喜びを感じる機会が増え、子どもの主体性が湧き出てくる」
 
 

子ども目線と一人の人として関わること

 
子どもの目線に合わせることと子ども扱いしないで一人の人間として接すること。この2つの命題は、時には矛盾してしまう難しさもあるが、どのようにバランスをとるのだろうか。
 
「大人としての自分が出てくると、『可愛い』『やってあげたい』という思いが出るのは自然です。ですから、保育をするにあたっては、まずは自分自身のコントロールが凄く大事だと思っています。
 
かわいいから、抱っこできるうちにいっぱい抱っこしてあげよう、あるいはハグをするのとぬいぐるみのように抱き上げて運ぶことは全く意味が違う。
 
大人がたくさん手伝ったが為に、本来やらなければいけない時期を通り越してしまって、後から苦労してしまうこともある。
 
モンテッソーリはよく敏感期を説明する時に、蝶が青虫の時のお話をよくします。蝶は卵を産みつける時に雨や風をしのぐ為に、木の枝のちょうど下に産みつける。その後、幼虫になり、産み付けられたところから遠くにある柔らかい新芽を求める。幼虫の時というのは、とても光に反応する敏感期のため、光に誘われて柔らかい葉の方へ行ける。そして、たくさん食べた後には、今度はしっかりと食べる力が備わって、他の葉の方にも行けるようになる。その時には、敏感期を過ぎているので、光に頼ることなく自分が欲するがままに葉に辿り着ける。
 
つまり、敏感期っていうのがその体のその時に必要なもので、かつ一過性のものなんです。ですから1歳児さんが今つかまり立ちをしたい、一歩を出したいという時に、大人がぐっとその子を観察して、頭をぶつけたりしない安全な環境のもと、上手に見守ることが大事だと思います。
 

なぜ、エデュリーへ?モンテッソーリにこだわらない理由

 
イギリスの幼稚園まで自ら足を運んだり、日本モンテッソーリ資格や国際モンテッソーリ取得をした後も自身の学びを広げるために渡米し、アメリカのモンテッソーリスクールを視察学習するなど、深く、そして広くモンテッソーリの教育に触れてきた。しかし、藤江園長は、「モンテッソーリにこだわらない」と日頃から口にする。それは、環境が与える影響の大きさを体感してきたからこそ、一人ひとりに合わせた保育の究極形に挑もうとしているためである。
 
「モンテッソーリ教育を現在も学び続け、伝えたい思いを持っています。それは、モンテッソーリ教育を受けた子どもたちの幸せな瞬間を何度も観てきているからです。
 
一方で、様々なお子さん、保護者様とも出会い、困難な姿も観てきました。これはたくさんの子ども達を見てきたからこそ、あえて言えるのかもしれないんですけれども、一人一人違って、一人一人求めるものは違うし、必ずしもそのアプローチが有効とも言い切れない。
 
個性を尊重し伸ばすためには、成長過程の居場所において、自由が保障されており、窮屈でないこと。そして、自由は放任でないこと、『環境』を保育者が正しく学ぶことが大切であると思っています」
 
午前中はダイナミックに本物に触れ、午後のクリエイティブタイムでは、素材と道具を中心に午前の体験を学びに繋げるエデュリーの保育。実際にエデュリーの他の園にも足を運びながら、保育に入ってもらった。
 
「ホームページを見た際、エデュリーでは、子どもの主体性を大切にして、そして世界に一つだけの保育園を作るというところに大変感銘いたしました。一人一人の子どもをとても尊敬されていることや保護者をパートナーであると謳われているところ。お子さんが成長していく過程では、保育園やお教室というのは、お子さんが1日の中で一番コンディションの良いお時間でお預かりするわけです。その時に、ご家庭とお心を合わせて成長援助するというのはとても大切なことだと思っています」
 
「今、エデュリーでは、クリエイティブタイムを充実させることに力を入れていますが、そのクリエイティブタイムの中でモンテッソーリのエッセンスを入れて、子ども一人ひとりに程良いチャレンジをデザインするような部分をお手伝いできたらなと思います。
 
例えば、長さを測るのであれば、どういう風にすると子どもは楽しいかなとか。日常生活の練習の中では、トイレットペーパーもここまで出すとちょうどいいんだよっていうところなど自然に楽しめる形をどんどんデザインしていきたいです」
 
最後に、「もし、目の前に新卒の自分がいたら何てアドバイスしますか?」と聞いたら、子どもを尊重する藤江さんらしい回答が返ってきた。
 
「今、自分に伝えてあげるとしたら、『子どもが大好きで遊んであげたいけど、一旦子どもをよく見て、今あの子が一番やりたいものを見て、そして後ろからそっとお手伝いしてあげて』ですかね」
 
 
 
 
 

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